アロエベラの抗潰瘍作用

胃は1日に1~2リットルの胃液を分泌する

胃酸、胃の粘膜を保護する

胃潰瘍、十二指腸潰瘍は胃壁や腸壁の一部が破壊される

胃酸の主成分は塩酸

胃潰瘍、十二指腸潰瘍は胃壁や腸壁の一部が破壊され、失われる疾患です。その欠損が、胃壁や腸壁をおおう粘膜にとどまっている場合は「びらん」と呼ばれます。

私たちの胃は1日に1~2リットルの胃液を分泌しており、胃液にはタンパク質分解酵素のペプシンと、食べ物を殺菌しペプシンを活性化する胃酸、胃の粘膜を保護する粘液が含まれます。

胃酸の主成分は塩酸で、pH1~2の強い酸性を示します(中性はpH7.0)。胃が、これほど強い胃酸によって溶かされないのは、粘膜のいちばん表層から粘液が分泌されていて、これでバリアをつくり、自らの粘膜を守っているためです。

このバリアが破られて、胃壁がむき出しになり、状態が胃潰瘍というわけです。攻撃因子の胃酸と、胃液によって消化されてしまった防禦因子の粘液のバランスが崩れて、攻撃因子の胃酸が多く出すぎると潰瘍ができやすくなるのです。「酸のないところに、潰瘍はない」といわれるのはそのためです。

アロエベラの特有成分であるムコ多糖体は、破れた胃粘膜と同じ成分であり、胃に入ると、潰瘍面に作用して、胃壁を胃液から守り、新しい細胞をつくるように活発に働かせる効力があります。

1985年、ブレンドは、胃に対するアロエベラの効果を調べるために、健康な男女それぞれ5人に、アロエベラのゲル質でつくつたジュースを1日3回、168ミリリットル飲んでもらい、検査を行ないました。その結果、アロエベラのゲル質を摂ると、胃で行なわれるタンパク質の消化が促がされることがわかりました。また、胃の中のpHが、平均1.88ぐらい酸度を弱めることが確認できました。つまり、アロエベラには胃酸の分泌を抑える働きのあることが明らかになったのです。

このように、アロエベラはまさに胃粘膜保護剤の役割を果たし、胃酸過多による症状の改善にたいへん有効に作用してくれます。

十二指腸は小腸の始まりの部分ですが、ここに胃から送られてきた消化物はまだ酸性に傾いていて、通常は、その刺激でアルカリ性の液体が分泌され、十二指腸内の消化物は弱アルカリ性になります。このしくみがうまく働かず、胃酸がたくさん十二指腸に入ってくると、十二指腸潰瘍が起こります。十二指腸の壁は、胃壁に比べて薄いことも、胃酸の影響を受けやすい原因の1つとして指摘されています。

1963年、ブリッツらは、十二指腸潰瘍の患者12人を対象に、1年間にわたり、1日1回、スプーン1杯のアロエベラのゲル質を摂取してもらいました。その結果、全員に十二指腸潰瘍の治癒が認められ、再発もなかったといいます。

ここでも、アロエベラのゲル質に、胃酸の過剰な分泌を抑制する働きのあることが確認されたのです。すなわち、アロエベラは、十二指腸の炎症を阻止するH2ブロッカー剤のような作用をしてくれているのです。

なお、私たちの皮膚や粘膜の細胞と細胞との間には細胞内物質があり、ヒアルロン酸やコンドロイチンなどを成分とする多糖体、およびコラーゲンというタンパク質などでできています。アロエベラのムコ多糖体は、これらの成分の働きを助け、活性化して潰瘍を補修する効果を促がし、治療効果を高めることがわかっています。

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